2005年9月号
二世のためのレイヤー設備講座 第10回 レイヤー農場の未来 担当: おやじ / 弊社社長 安田 勝彦
1.夢もありイバラもある世界
約30年間の試行錯誤と議論の末生み出された採卵養鶏自由化時代・・・
弊社がスタートした1972年頃には「バカのトリ飼い」と云う言葉を耳にすることがありました。 当時の農水統計による採卵鶏飼育戸数は100万以上、昨年の統計では約7千戸。 バカは去っていったのがこの業界の変遷だと思います。 採卵養鶏はプロだけが残り、プロで且つ知恵がなければ生き残れない時代に入ったと云えます。 さらに、採卵養鶏自由化の流れの中、規制時代に比べ次の背景から経営格差がつきやすくなっています。 @ タマゴであればタマゴの時代は終わった タマゴを生産している農場の衛生管理状態に関心が寄せられ、食べさせているエサをタマゴの販売に積極的に活かせる時代、即ち、食の質に対する関心が高くなっている A 設備、施設にお金がかかる、云ってみれば採卵養鶏鉄道事業時代 設備、施設のメンテナンスをしっかり行い、1年でも長く使用していく事が大切であり、設備使用期間中のランニングコストの差(第9回「鶏卵生産費、収益性を考える」−農場が生む第2の利益)を掘下げる余地が拡がっている B 鶏糞処理が経営に及ぼす影響が大きくなっている 年間売上が5万羽養鶏で1億円以上、10万羽で2億円以上、50万羽で10億円以上、1万羽でもやり方によっては5千万円以上・・・ @〜Bの問題にプロ魂と知恵をぶつけていけば、養鶏は夢のある事業です。 花と緑のあるクリーンな農場・・・ 知恵がなければイバラの道となる可能性もある事業です。 2.業界共通課題には協調が大切な時代 現時点、五つの業界主要課題があると思います。 @ 原料卵原産地表示義務の法制化 マヨネーズの他、タマゴを10%以上の割合で使用する全ての加工食品に対し A 消費宣伝 コレステロール問題誤解解消の他、コリンなど微量有用成分の積極的PR等 私自身、森光子の4個には及びませんが、最近1日2個に増やし快調です B インフルエンザ問題 C 環境に優しい鶏糞処理に対する政府助成措置 D 動物愛護問題 生産性、経済性、衛生管理とのバランスのとれた生産方式に対し消費者の理解を求める 採卵養鶏はお父さんの時代に業界規模が飛躍的に拡大しました(1955から1969の14年間に、生産額で646億から2803億と4.3倍に。 1970から1990の20年間に、数量で170万から250万トンと1.5倍に)。 この過程では、羽数枠問題他、生産者同士の確執があったことも事実です。 と同時に生産者が絞られていく中、設備投資も大きくなり、経営の安定を図るため、業界の共通課題については、生産者同士が力を合わせ、改善、解決をしていくことが求められています。 お父さんの時代の確執を乗越え、次世代では新しい時代に向かい、業界の共通課題については協調と行動が必要になってます。 農業の中で養鶏は、智慧と努力次第で、最高レベルの一人当たり生産性と収益を上げることの出来るやりがいのあるパワーエリトの世界です。 皆さんの挑戦を期待しています。 私達も第2の利益を極大化できる機械、設備を目指し頑張ります。 二世のためのレイヤー設備講座は今回で終了いたします。 採卵農場における設備、施設のプラニング、整備、メンテナンスの良し悪しが養鶏経営に大きな影響を与える時代になりました。 本講座が何かのお役に立つことがあれば幸いです。 |