2003年1月号
日本には日本の採卵養鶏 今月号は鶏鳴新聞新年号への投稿を掲載させていただきます。 東洋システム椛纒\取締役社長 安田勝彦 広大な土地に比較的容易に百万羽単位の農場建設が可能な米国、生産性を枠外に追いやり動物愛護に揺れる欧州・・・。 四十年前の外国鶏の導入にはじまり、ワクチン、設備の導入と続いた欧米の養鶏技術の流入に対し、本格的に日本の養鶏を築く時が来ているのではないでしょうか・・・。 この業界で生残って行くためには、全ての関係者がこの問題を真剣に且つ誇りと自信をもって考える時が来ているのではないでしょうか・・・。 この問題を設備会社の立場から次ぎのように考えます。 《 清潔で緑のある農場 》 HACCP、トレーサビリティ(生産未歴)が議論される流れの中、鮮度と品質を誇る卵を生産する基本はここにあります。働く人の気持も変って来ます。十五年前欧州から入ってきた直立ケージは鶏糞の取扱をクリーンにし、ハエの発生を少くしました。ホコリのたまりにくい鶏舎、掃除のしやすい機械・鶏舎、鶏糞最終処理との関係をより円滑に、より少い電気代で、より手をかけずに出来るシステムを開発して行くことが、我々設備会社に課せられたこの問題に関する今後の課題だと考えます。 《 成績と効率の徹底追求 》 飼料価格が米国のほぼ倍の日本では、トップレベルの成績を目指すことが育成、成鶏期間を通じ求められています(この点ではオランダ等欧州と共通している)。設備面で成績に影響を及ぼしやすいのは舎内環境即ち換気です。冬期、ウィンドレス並みの温度維持ができ、且つクーリングパッドを備え完全に夏場対策のできたシステム開放鶏舎、舎内空気によどみがなく且つ温度差が少ない新トンネル換気ウィンドレス鶏舎は高成績を出しやすい環境を作ります。更に舎内温度、給餌量、給水量等鶏舎管理の基礎データを二十四時間監視し続け、シンプル且つ分りやすい表示で点検個所を知らせる日本育ちのファームコンピュータは高成績に挑戦する生産者を快適にサポートします。 養鶏は鉄道事業、農業の中で最も装置産業化しつつあるレイヤー設備は償却後の十年で稼ぐことがこれからの基本原則、初期投資に二十年間のランニングコストを加え連結金額で設備選定をすることが装置産業化しつつある採卵養鶏で儲けるコツ。十万羽単位で計算して二十年間の売上げは四十億円(ヘンキャパ羽当り十七キロ生産、キロ百十八円計算)、エサをキロ五円安く買ったとして三億円の収益増、タマゴをキロ十円高く売ったとして三億円の収益増、糞乾電気代・破卵率・要求率・産卵率・労務費・耐久性の六大ランニングコスト差から生ずる収益差は四億円! 儲かる日本の養鶏の原点は、適確な設備選定をして成績と効率を徹底追求する農場にあります。 作れば売れる時代は終った今、この原点を忘れて規模拡大をすれば自滅の道を歩むことになります。 飼料の大半は輸入、生産されたタマゴの大半を輸出するオランダ養鶏はこのことを実証して教えてくれています。 《 売りを固める 》 販売力イコール自分で売ることではないと思います。 自分で売る売らないではなく、農場から消費者に至る信頼関係、信用で結ばれた流通経路、流通パイプを築くことが販売力だと考えます。 自分で売っていてもこれがなければ販売力の実態は脆弱であり、自分で売っていなくてもこれが築かれていれば経営は安定します。 装置産業化されても背後にある原点は生き物であり、ここにタマゴの本当の販売力を解くもう一つの鍵が潜んでいると考えます。 日本の採卵養鶏を強くする設備を目指し、国内、EU、中国の工場とスクラムを組み日本のメーカーとして今年も努力を続けます。 |
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