2003年3月号 味と品質に徹底的にこだわった特殊卵販売で不況知らずの養鶏経営
田隅養鶏場(兵庫県)
中国縦貫道福崎インターチェンジから国道312号線を和田山・豊岡方面へ7〜8キロほど北上したところにある(有)田隅養鶏場様をご紹介します。 昭和35年に創業して以来、卵価相場に関係なく独自で価格設定出来るよう、おいしさと安全性を追求した自社ブランド卵の生産・直売に取組んでいる養鶏場です。
報告者: 西日本エリアマネージャー 井上 富次
農場概要: 開放システムケージ鶏舎で、ハイテムブレードケージ、4段・3列・64メートル/棟×2棟で、1万卵/時処理のセミオートパッカーのある集卵室へインライン。鶏糞は富士コンポで醗酵処理をしている。 更に、鶏舎内環境等の情報管理にハイテム開発のコンピューターシステム・ファームマネージャーを活用している。 田隅社長談: 平成7年4月に現会長(父)から養鶏経営を引き継いだが、既に平成5年から自社ブランド卵の生産・販売が採算ベースに乗りはじめていた。 社長就任して2年後、鶏舎や設備の老朽化と地域住民に対する環境問題から、設備更新に取組みはじめ、地元行政機関や仕入先(飼料会社やヒナ供給会社)のご協力をいただいて昨年新鶏舎2棟を完成した。 不需要期(正月明けの1月・2月と夏場)を除き100%直売で、地元中心の直販が 40%、宅配便出荷が30%、その他ホテル向け等の業務用に20%、関連会社の田隅商事売りが10%となっている。お客様は殆どリピーターで配送先は青森から鹿児島まで日本全国に亘る。又お中元やお歳暮の時期は贈答用に北海道とか沖縄へ発送の注文を受けることもある。 地元メディアやグルメ雑誌等マスコミに紹介されてお客様が増えていくこともあるが、大半は固定客様からの口コミで拡がってきた。お客様からは「卵かけご飯」がおいしいと言われる。又、子供達からおいしかったと言われるのが一番嬉しい。 現在は4キロ詰めダンボール単位を3,000円ほどで販売している。餌は中部飼料にお願いしている当社専用飼料レイヤータズミを使用している他、飲料水については、これまでに2千万円ほどの設備資金をかけている(詳しくは企業秘密)。 今後は量・品質ともに安定した生産が見込まれるので、一年間を通じて生産品全量の直売を目指して、よりハイレベルなブランド卵生産に取組む所存である。 ハイテムケージシステムを採用して: 管理がし易く、鶏糞乾燥具合も良く今のところ満足している。8月後半に鶏を導入したので本格的な夏場は経験していないが、従来の低床開放鶏舎での飼育経験から、さらに順送ファンの設置やブレードによるケージ内環境の良さから心配はないと考えている。 当養鶏場は成績面も大切であるが、まず卵の中身が重要であり品質重視の方針で上質の餌・水を与え、ケージ飼育の中でも太陽光線を十分取り入れてより自然な環境で管理するやり方を今後も追求して行く。 |
田隅さん及び経理の仁紙さん、出荷の岡さん 鶏舎右側に集卵室へのバーコンが見える 近くの住宅と共存 鶏舎内部 鶏舎前部。ニューエスカレータ及びファームコンピュータ端末を含むハイテム電気制御盤が見える |
東洋システム梶i岐阜県各務原市金属団地九七の四 社長 安田勝彦)は、採卵農場の採算性に大きな影響を与える破卵率の低下に役立てる破卵追跡システム「クラックレス」をカナダのベンチャー企業センサーワイヤレス社と提携し発売する。 衝撃を受けると発光する模擬卵は従来からあったが、数量的、システム的に破卵発生個所を把握することがむづかしかった。 クラックレスは最新の電子技術を駆使しセンサーと発信回路を搭載したセンサーエッグとパームコンピュータ及びパソコンをシステムに組み合せ、センサーエッグが受けた衝撃を重力gで数量的且つ連続的にデータ収集し、これをパームコンピュータが受信、表示すると同時に記憶する(国際特許申請中)。 記憶されたデータをパソコンに接続、分析ソフトを使用し、破卵発生の可能のある個所を重力gで具体的数値として表示する。 表示された個所をセンサー卵を使用し、衝撃が最低になる様対策を打って行く。 「クラックレス」を農場、GPセンター、配送用トラックに定期的に使用することにより産卵から消費者に届く迄の破卵発生を最低レベルに保つことができる。 米国・カナダでは先月発売開始されたが日本向けにはセンサーエッグの重量を六十四グラムにする(米国・カナダ向けは五十八グラム)、ソフトの日本語等の改良を行った後五月からの発売を目指している。価格は米国・カナダと同一価格米ドル八千九百九十五を予定している。 クラックレスをインライン農場で使用している状況 |
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