![]() システム鶏舎を創意と工夫で使いこなす
松 井 養 鶏 (兵庫県)
![]() 松井代表
報告者:技術営業グループ 西日本担当 井上富次
今月は兵庫県氷上郡柏原町にあります松井養鶏様をご紹介します。 同養鶏場は経営規模の拡大を図るため、平成2年10月氷上郡氷上町において、ハイテム直立ケージ陽圧換気の本格的ウインドレス鶏舎を1棟(2室)建設した。 その後、本所石戸農場のマルト式低床開放鶏舎更新期に際し、バブル崩壊後の厳しい経営環境下、十数棟の低床開放鶏舎の内、平成6年9月6棟についてハイテム直立ケージで内部設備のみの改造工事を行い、更に平成14年9月までに2万羽の育成舎(セミウインドレス鶏舎)1棟とブレードケージ・新トンネル換気ウインドレス鶏舎2棟を建設した。 これまで鶏舎内部設備は全てハイテム直立ケージを採用いただいている中、ハイテムケージを使用しての感想と、建物工事を含め創意・工夫をして鶏舎設備を上手に使いこなされている点を松井代表に伺いました。 古い設備は14年ほど経過していますが、ハイテムケージを使用していかがですか・・・ 「最初の鶏舎を建設する1年前、取引関係先の城山種鶏場グループでハイテムケージが導入されており、その実績等を考慮して採用に踏み切ったが、当初考えていた通りケージや各機器の耐久性が優れており、数年前にホッパーフィーダー用トラフを一部交換しただけで、まだ5年以上は十分使用可能な状態である」 鶏舎建設に当り、工事のポイントはどのような点でしたでしょうか・・・ 「一番目に周辺地域に対して公害問題の発生を極力排除した鶏舎建設を目指した。最初の鶏舎は糞乾直立ケージの陽圧式ウインドレス鶏舎で、ハエや臭気問題のないものとした。一昨年の新トンネル式鶏舎では、排気側に肉牛生産の酪農農家があり、排気ファンを後方妻側ではなく後方側面に取付ける工夫をした。 二番目はネズミ対策で、ネズミの侵入しにくい鶏舎構造とした。最新鶏舎では天井を造らず、ネズミの巣となる可能性がある場所を造らない設計とした。 三番目として、成績を上げ時代に即応した安全で安心な鶏卵生産が可能な鶏舎は、何よりも鶏に対して十分な給餌・飲水ができ、且つ十分に新鮮空気が行き渡ることが大切だと計画を立てた。 最後に、建設コストを出来るだけ安く上げるため、出来る範囲は自分たちで取組んだ。最初のウインドレス鶏舎と最後の育成舎はいずれも木造構造であるが、基礎・土間工事は全て独自で施工し、建て方・屋根/壁工事は専門家1名の指導で応援人工として手伝った。最新の育成舎では、9m間口×54m長の木造鶏舎で自分たちの工賃は含まないが、専門家1名の人工賃と材料代合計6,000千円で仕上がった(300円/羽)。 内部設備機器に関して独自な工夫をしていると伺っておりますが・・・ 「特別なことをしている訳ではなく、家族養鶏の少人数で鶏舎管理する上で、使い勝手が良く、管理し易くするための改善をしている。例えば、ホッパーフィダートラフの両サイドに溜まる餌の量を少なくする工夫をしている等。 2度目のマルト式低床鶏舎改造では厳しい経営環境下、全体のコストを下げるため、建物はそのままで内部設備の更新のみとしたが、夏場対策、ツツキ問題等使いこなすのに数年間を費やした。 成績を上げるための改善・工夫にも勿論取組んでいるが、システムケージであるので、各機器が毎回スムースに動くことが重要であり、先程述べた通り、十分な餌・水の供給と新鮮空気が行き渡れば、結果として成績に結びつくものと考える。従って日々の機器のメンテナンス(オイル注し等)とVベルトやベアリング等消耗部品のチェック、早めの交換などの作業が大事である。その点ハイテムは常時メンテナンスをしっかり行えば長い期間使用可能なケージシステムである」 現在の生産規模、従業員数などを教えてください・・・ 「収容羽数は116千羽。従業員は自分を含めて3名が鶏舎管理と鶏糞処理の業務を行い、集卵室はファームパッカー2台設置で、2H/日パート勤務の女性4名が勤務している」 鶏卵の販売と鶏糞処理及び処分方法を教えてください・・・ 「鶏卵は全量原卵出荷で、メインは(株)籠谷で一部(株)藤橋商店へ出荷している。餌の購入先も鶏卵出荷先と同じ。鶏糞はオートコンポで発酵処理して天日乾燥場で製品とする。ほとんど自動袋詰め機でJA等に販売するが、一部は近隣の農家へ直接配達し、畑等に投入する。今のところ鶏卵・鶏糞ともに過不足なく比較的順調に回っている」 本日はありがとうございました。 |
成鶏舎後部断面図![]() 成鶏舎平面図 ![]() ![]() ![]() ライトトラップ入気の新トンネル換気鶏舎 ![]() ![]() 鶏舎内部 ![]() ![]() 右側肉牛農場 奥は旧鶏舎 内部はハイテムで更新済み 10月号へ |