2005年1月号
動物愛護と加工原料産地表示 今月号は 鶏鳴新聞新年号への投稿を掲載させていただきます。
東洋システム(株) 代表取締役社長 安田勝彦 多くの課題の中、二つの問題を提起させていただきます。 動物愛護 養鶏が庭先養鶏であったころ、トリは害虫、雑菌等にさらされ、斃死率は年間40%に及んだといわれます。 このような状況の中、クリーンで効率的なタマゴの生産方式を求め、試行錯誤の末産みだされたのがケージシステムです。 ご存知のように、EUでは、グリーンパーティーを尖兵とする政治パワーにより、消費者が十分な情報を提供されないまま、生産者は平飼を強いられています。 欧米のよいところ、参考になるところのみ取り入れ、日本の養鶏を築く時代に入っています。 動物愛護については、米国生産者協会(UEP)のアクションプランが実践的方向を示していると考えます。 ご存知の方もおられると思いますが、骨子は、ケージ内羽当り生活スペースを2008年、白432、赤490(平方センチ)に段階的に拡充、デビーク、強制換羽等に一定の基準を設け、このガイドラインに沿って生産されたタマゴには第三者機関による検証を条件に「動物愛護マーク」を添付する、です。 ドイツ、オランダ等中央ヨーロッパの鶏舎の原点はウインドレスで、トリをケージに詰め込めるだけ詰め込んできた歴史があり、これがグリーンパーティー等自然を大切にしようとする人達の反発を買った背景があります。 本当に動物愛護を考えるのであれば、自然の産卵サイクルを超越して進む育種改良をどう考えるのでしょうか、産卵を続けるトリを生産経済性がなくなったといって廃鶏にすることをどう考えているのでしょうか。 日本の養鶏の原点は自然と共存型の開放鶏舎が原点です。 平飼もおおいに結構です。しかしそれはこだわりのタマゴ等生産の選択の一つとして考えられるべきことで、政治パワーで生産者に強制されるべきことではありません。 ヨーロッパでのこの問題に対する過ちを日本に持ち込まないために、米国UEPガイドラインを参考にこの問題に真剣に取組む時が来ていると考えます。 日本生産者協会の行動を期待します。 加工原料産地表示 トレサビリティが議論され、動物愛護の問題も考慮される可能性がある流れの中、国内産のタマゴは、消費者の安心と信頼を一歩一歩固めて行くと思います。 マヨネーズ等加工食品に使用されているタマゴについても、大多数の消費者は安心を求めていると思います。 ところが原産国表示すらないのが現状です。 これは生産者のみならず、消費者にとっても、長い目で見れば加工業者にとっても改善しなければならない問題だと確信します。 即ち、生産者にとっては、トレサビリティ、動物愛護等国内生産に係るコスト回収、消費者には安心と品質、加工業者にはより安定したビジネス基盤(原料疑惑による突然のブランド失墜回避、消費者信頼増による需要の安定等)を与えると考えます。 関係団体の政府への働きかけ、政府関係者の行動を切に望みます。 |
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