工場暖房・体育館暖房、定量ポンプ、鶏舎の集卵システムは株式会社ハイテム

  2005年3月号


二世のためのレイヤー設備講座

第4回 集卵システム



担当: おやじ / 弊社社長 安田 勝彦


1.破卵問題が経営に及ぼす大きな影響

 皆さんのお父さんが若い頃は手集卵が常識でした。 今は自動集卵が常識です。 自動集卵には経営に影響を及ぼす大きな問題が潜んでいます。 破卵問題です。
 破卵はケージ破卵が大きな問題ですが、自動集卵による破卵も大きな問題です。
 表1は東日本地区の約20万羽規模農場に於いて2002年5月、3日間にわたりケージ前、エスカレーター排出後各7,680個(1調査960個)、計15,360個の破卵調査を行い収集したデータです。


表4−1:破卵調査例

 X社と弊社システムでは、ケージ破卵で2〜5%、集卵破卵で1%の差があります。
ケージ、集卵機による破卵差が3%とし、破卵100円落、年間17キロ生産、平均設備使用期間20年、で計算すると、羽当り1000円余、10万羽養鶏では1億円余の差になります。  これは現実に起きていることです。

 弊社システムでも、給油。タイミング調整等メンテナンスが適切に行われていない場合は破卵が増加しているケースがあります。 しかし、メンテナンスを適切に行っても生ずるシステムの性能差は、自動化が常識化している経営環境化下、設備選定に大きな問題を提起しています。


2.集卵システム破卵ゼロを目指して

 破卵問題には力を入れ取組んできましたので若干PRが入ることをお許し下さい。
 集卵システムによる破卵には二つ問題個所があります。
 一つはケージ列端末にあるエスカレーター、もう一つは横引コンベアです。

 1)エスカレーター
直立ケージはケージ集卵ベルトが垂直一直線上に並びますので、各段の集卵ベルトで集められたタマゴを横引コンベアに運ぶためには、集卵ベルトから乗移るタマゴの交通整理をする必要があり、この過程で破卵が出やすくなります。

弊社では提携先のサルメットと破卵ゼロを目指したニューエスカレーターの開発に数年前から取り組み、一昨年の夏発売を開始しました。 本年製造分からは更に改良を加えました(クーリングパッド使用鶏舎で産卵開始時でタマゴが小さい時に散発していた横引コンベアへの乗移不良問題を解消しました)。
開発のポイントは下図の通りです。


図4−1:ニューエスカレーターの開発ポイント


写真4−1:農場に導入されたニューエスカレーター

 下表は開発当初のニューエスカレーターの破卵フィールド調査例です。強換後の鶏群でも殆んど集卵破卵がないことが分かります。


表4−2:ニューエスカレター破卵調査例


2)横引コンベア

 約20年前までの横引コンベアーはフラットベルトが常識でした。
 フラットベルトの場合、上下、カーブが困難で限られた土地で横引をするには限界がありました。 そこに今では常識のロッドコンベアが現れました。 もともとパンの搬送等、食品関係で使用されていたコンベアです。 弊社も、フラットベルトの限界に苦しんでいたため、ロッドコンベアに飛びつきましたが、食品関係と採卵農場のメンテナンス環境の違いからくる初期トラブルでユーザーの皆様に迷惑をかけました。

 この経験をもとに(ご迷惑をかけましたユーザーの皆様にはこの場をおかりしあらためてお詫びを申し上げます)、現在の弊社標準、プラスチックコーティング付ロッドコンベアにたどりつきました。
 ロッドコンベアには、ロッド端にチェーンを使用する方法と、ロッド端形状を工夫しチェーンレスにする方法があります。
 弊社はチェーンタイプからスタートし、現在はシンプルなチェーンレスを標準仕様にしています。  チェーンレスは給油を適切に行えば、基本的にトラブルフリーです。

 ロッドコンベアは金属バーが標準ですが、弊社は、0.5〜1%の破卵差にこだわり、プラスチックコーティングロッドを標準仕様にしています。



写真4−2:プラスチックコーティング付ロッドコンベア


3.エッグフローコントロール

 横引コンベア端にはパッカーまたは洗選卵機が接続しています。
3万卵のパッカーであれば3万卵の、5万卵の洗選卵機であれば5万卵のタマゴが流入すれば、作業率は100%になります。
 特に数人が作業をする洗選卵機の場合、この効率を上げることは大切な問題になります。
 エッグフローコントロールは、各ケージ列から横引コンベアに流入するタマゴの数をエッグカウンターで把握し、横引コンベアからパッカー、又は洗選卵に流れるタマゴの数を、設定値をターゲットに調整し、パッカー又は洗選卵機の効率を上げます。


以上





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