2005年5月号
二世のためのレイヤー設備講座 第6回 育成舎 担当: おやじ / 弊社社長 安田 勝彦
苗半作という言葉を聞かれたことがあると思います。 成鶏で成績を出すための半分の要素は、若メスにあるといわれます。 若メスに対する方針は養鶏経営に大きな影響を及ぼします。 信頼できる育成会社からの大雛、又は中雛導入、管理体制を整え自家育成、メリハリをつけ 方針を立てます。 今回は育成設備について話をします。 1.一貫方式と前期・後期二段階方式 欧米では一貫方式が一般的ですが、農場立地に制約があり、鶏病リスクが高い我が国では、 二段階方式が採用される場合もよくあります。 一貫方式
餌付から若メスまでを収容する餌付段と、育成後期のみに使用する育成段を備えます。
前期・後期二段階方式
餌付から35〜60日令までの前期育成舎と若メスまでの後期育成舎を備えます。 後期育成舎は、エサトイ高さの調整は不要、暖房設備は不要等シンプルな設備にすることが可能です。 前期育成舎から後期育成舎への移動作業が加わりますので、この点の作業性を十分考慮しておく必要があります。 2.鶏舎形式
餌付を行う一貫方式、前期育成舎はウィンドレスが一般的です。 給温を行う関係から外気温の影響を受けにくい陽圧換気方式が採用されてきましたが、弊社が開発した新トンネル換気を採用すれば、外気がマイナス20前後になる北海道の寒冷地でも 極めて均一な温度が得られる実績ができてからは、次の理由から新トンネル換気が採用される ことが多くなってきています。 1)新鮮空気が鶏舎内の空気と攪拌されながらトコロテン式に空気が流れて行くため、 鶏舎内に汚れた空気のよどみが出来にくく、成績が出しやすい。 2)天井をなくすことが可能で、鶏舎の丸洗いがやりやすい。 3)アウト時、鶏舎後部のトンネルファンを回しながら、鶏舎前部からクリーニングして行くことに より、ホコリを効率的且つ徹底して除去しやすい。 4)ライトトラップが取付け易く、ライトコントロールもやり易い。 3.給温方式
床面給温又は温風方式が一般的です。 1)床面給温 @床面から暖まるので、上下の温度差がつきにくい。 6段全段餌付をしている例もあります。 A床面に散水すれば簡単に湿度がとれる。 B温風暖房に比べ設備費がかかるのが難点。 2)温風方式 移動式温風ヒーターを使用するのが一般的。 細霧システム等の加湿対策を考えておきます。 4.ケージ寸法
システム型育成ケージの一般的な間口は1m、奥行きは60cm台が一般的です。 収容羽数は、120令時点で300平方cm台にするのが一般的です。 間口についてはトリの運動距離、コストダウンを狙って1,4m寸法を弊社で開発しました。 5.ケージシステムを中心に設備選定のポイントを考えてみます。
1)ワクチン等作業のためトリを掴む必要があるので、ドア、開口寸法は重要 写真6−1: スプリングアップドアは開閉が簡単で且つロック忘れがない 肩まで入る開口はトリを掴みやすい 2)ヒヨコがエサを食べ易く、且つヒヨコが逃げにくいことも大切 写真6−2: タテ線がない採餌開口 給餌スペースをとりやすい 3)エサはヒヨコにとって見え易く、近ずきやすいことが大切 写真6−3 4)ワイヤーパーティションはヒヨコの水覚がよく、洗滌後の乾きが早い特徴があります 写真6−4 5)除糞システムはノンスリップ型除糞機を使用、360°オートストップコントロールを導入し、 鶏糞堆積ベルトを同一サイドに管理すると、ケージ内の衛生環境が向上しコクシ対策にも なります 写真6−5: 除糞ベルト位置を秒単位でコントロール 6)育成舎は給温から始まり温度差が大きいので除糞ベルトのテンション調整はやりやすい事が 大切。 除糞ベルトは10℃差で10cm伸縮します。 写真6−6 7)育成は糞量が少ないので、チェーンコンベアで横出するのは衛生的で良い方法 注:成鶏は搬送量の多いコンベアを使用する場合も多い 写真6−7 8)給水システムには、ニップルパイプ内に直圧をかけ自動洗滌できるオートフラッシュシステムを 設置するのが望ましい 写真6−8−1 写真6−8−2 9)ファームコンピューターを備えれば、夜間の温度等の推移も把握でき的確なアクションをとる 手助けになる 写真6−9 6.最近完成した育成舎例 写真6−10: 新トンネル換気 鶏舎前面夏期空気取入面にライトトラップを備えている 写真6−11: 冬期〜中間期は側面から入気 写真6−12: 天井をなくし、リトリクター(垂れ壁)を備えている 写真6−13: 間口は1.4mの新タイプを採用 図6−1: 断面図 図6−2: 平面、立面図
以上
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