養鶏の収益性について。工場暖房・体育館暖房、定量ポンプは株式会社ハイテム

  2005年8月号


二世のためのレイヤー設備講座

第9回 鶏卵生産費、収益性を考える


― 農場が生む第2の利益 ―


担当: おやじ / 弊社社長 安田 勝彦


1.農水鶏卵生産費調査

1994年(平成6年)まで農水が鶏卵生産費の調査を行っていました。

表9−1:農水鶏卵生産費調査

1kg当り
生産費
1羽当り
生産費
1羽当り
生産量
1戸当り
平均飼育羽数
全国飼育戸数
1975
(昭和50)
270 3,918 14.5kg 3,899 384,100
(1976年)
1994
(平6)
166 2,718 16.4kg 16,929 6,800
(1996年)



生産費の内訳を羽当りで見てみます。

表9−2:羽当り生産費内訳
(詳細は下表をクリックして下さい)


約10年前の1994年と30年前の1975年では、kg当り生産費が約100円下がっていますが、一番大きな要因は、飼料代がほぼ半額になっていることだと分ります。
これは、飼料価格が全般的に半額に下がったのではなく、飼育戸数の推移から分るように、20年間の間に30万戸の生産者が鶏卵生産から離れ、これら生産者向けの割高な飼料がなくなって行ったからだと推察されます。

採卵養鶏、プロの時代の到来です。


2.10万羽単位モデル生産費

1995年以降農水の生産費調査は中止されています。
比較的合理化の進んだ農場をベースに10万羽単位で生産費を考えてみます。
kg当り農場コスト125円、飼料価格30円、手取り販売価格130円、羽当り年間生産量17.5kg(日卵量48g)あたりが一つの目安ではないかと考えられます。
一日の売上が、4.8tx13万円/t≒62万円、年間売上が、1750tx13万/t≒2億3千万円、利益が、1750tx5千/t≒9百万円です。

年間生産費の内訳を見てみます。

表9−3 10万羽養鶏年間生産費内訳
(詳細は下表をクリックして下さい)


飼料会社への支払が1億、労務費は1千5百万円等の数字が読取れます。


3.農場が生む第二の利益

2億3千万円の売上で、9百万円の利益では安定経営に不安があります。
利益増に向け智慧を絞る必要があります。

養鶏の第一の利益は、何と云っても、いかにタマゴを高く売り、いかにエサを安く買うかにあります。
これからの養鶏は設備の整備なくしては成り立ちません。 いったん設備をすれば20年間使用することがお金を残すコツであり、この視点から、第一の利益についても20年単位で考えます。
エサをkg2.5円安く買えば20年間では、1750tx2.0(要求率)x2500円/t x20年=1億8千万円の利益になり、タマゴをkg5円高く売っても同額の利益を得ることができます。

これからの養鶏は設備なくして成り立たない背景には、設備の違いからくる生産費(ランニングコスト)の差があることに着目する必要があります。
ランニングコストの差には、エサ代、電気代等ランニングコストとして目に見える差と、破卵、 産卵率の差等ランニングコストとして目に見えない差があります。
目に見えるもの、見えないものを合せ、主要なランニングコストの差として6要因あり整理すると表の通りです。

表9−4 設備の差が生む生産費(ランニングコスト)の差 (20年間)
(詳細は下表をクリックして下さい)


この差は、採卵農場が装置産業化してきているがゆえに生じてきている差であり、養鶏の原点である第一の利益に対し第二の利益と云うことができます。
これからの養鶏は、この第二の利益をしっかり認識し、ランニングコストに着目し、設備選定、設備整備を行っていくことが、利益を出す農場作りの非常に大切なポイントになっていると考えます。


以上





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